群馬県にある四万(しま)温泉は、草津温泉や伊香保温泉と並ぶ上毛三名湯のひとつ。温泉総選挙の女子旅部門で何度も1位に輝く、女性に人気の温泉地です。

四万温泉の特徴は、やわらかく肌に優しいお湯と、美しい「四万ブルー」と呼ばれる透明な清流。湯上りはしっとりつやつやになり、デリケートな肌や赤ちゃんにも安心です。また、昭和レトロな雰囲気が残る静かな温泉街で、心身をゆっくり休められるのも魅力のひとつです。


四万温泉・日向見地区の魅力

四万温泉は中心街のほか、温泉口、山口、新湯、ゆずりは、日向見の5つの地区から成り立っています。その中でも日向見地区は温泉街の最奥に位置し、最も静かで自然に囲まれたエリアです。

日向見には四万温泉発祥といわれる共同浴場「御夢想(ごむそう)の湯」や、国指定重要文化財の「日向見薬師堂」があります。薬師堂は平安時代に源頼光の家来、碓氷貞光が夢のお告げで温泉を発見したことに由来する歴史ある建物で、木造建築の美しさや伝説が今も残ります。

御夢想の湯は御影石をくりぬいて作られた小さな浴槽が特徴で、源泉かけ流しのお湯を無料で楽しめます(9:00~15:00の旅行者向け開放時間)。地元の方々も利用するため、時間外は入浴できませんが、昔ながらの湯治文化を体感できる貴重な場所です。


「湯の宿 山ばと」に宿泊して

今回泊まったのは、日向見地区にある「湯の宿 山ばと」。森の中の静かな佇まいで、まるで友人宅や別荘のように落ち着いた雰囲気です。宿の名前は山鳩に由来し、夫婦円満や幸福の象徴として名付けられました。

客室は6室のみで、3つの貸切風呂を完備。大浴場とは違い、家族やカップルで一緒にゆったり入浴でき、新鮮なお湯を独り占めできます。露天風呂「滝見の湯」では四万川のせせらぎと緑に包まれ、自然と一体になる感覚を味わえます。

また、山ばとにはアーティストルームが2室あり、宿泊体験を特別なものにしています。カナダ人と日本人のユニットCLEMOMOによる「こでまり」はカラフルでユニークなオブジェが印象的。山形敦子さんの「いわかがみ」は、地域の素材や四万川の青を生かしたアートで、夜は作品だけの明かりで過ごす体験が可能です。アートを通して土地と一体になる感覚を楽しめます。


食事と水のおいしさ

山ばとの食事も魅力のひとつ。囲炉裏料理を中心に、地元の野菜や上州牛、川魚などが並びます。夕食も朝食も品数豊富で、卵料理を4種類から選べるのも嬉しいポイント。水道水も「生きている水」と称されるほどまろやかで、コーヒーを淹れるとその違いを実感できます。


四万温泉と山ばとの魅力まとめ

四万温泉は「世のちりを洗う温泉」と上毛かるたに詠まれるほど、心身を癒す名湯。山ばとでは、プライベート感のある貸切風呂、新鮮な温泉、四万ブルーのせせらぎ、アーティストルーム、地域食材の料理、そして清らかな水を存分に楽しめます。

都会の喧騒から離れ、デジタルデトックスしながら癒される時間を過ごすにはぴったりの宿。女子旅はもちろん、カップルや家族での滞在にもおすすめです。


湯の宿 山ばと 基本情報
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万4358-11
電話:0279-64-2217
公式サイト:湯の宿 山ばと