日本最北端の離島「礼文島」は、春から秋にかけて約300種の高山植物が咲き乱れることから「花の浮島」と呼ばれています。礼文の魅力は、ここでしか見られない風景と体験。特に秋、観光客が少なくハイキングや自然観察に最適です。私は9月上旬に訪れ、静かで快適な旅を楽しむことができました。
秋の礼文の魅力
秋の礼文は気候が穏やかで、ハイキング日和です。朝晩は17度前後、日中は23度ほど。爽やかな風が吹き抜け、空は透き通るように高く、秋らしい雲がぽっかり浮かびます。さらにピークシーズンに比べ観光客が少ないため、島をゆったり満喫できます。地元の人々の温かいおもてなしも旅を一層心地よくしてくれました。
礼文島で出会う絶景ハイキング
礼文島には7つのハイキングコースがあります。中でも代表的なのが「岬めぐりコース」と「桃岩展望台コース」です。
岬めぐりコース
スコトン岬からゴロタ岬、澄海(スカイ)岬を巡る約12.4kmのコース。海食崖が生む西海岸の絶景を楽しめます。ゴロタ岬では360度の眺望が広がり、晴れた日には利尻富士も望めます。スカイ岬は島内でも屈指の絶景スポットです。
桃岩展望台コース
香深港から桃岩展望台、元地灯台を経て知床へ至る全長約6.4kmのコース。断崖と青い海、海に浮かぶ利尻山を背景に歩ける手軽なコースで、外国のような絶景を楽しめます。映画「北のカナリアたち」のロケセットも見どころです。
礼文島は熊、エゾ鹿、蛇、キタキツネがいないため、ハイキング中に危険な動物に遭遇する心配がありません。安全で安心して自然を満喫できます。
秋の礼文グルメ
礼文の魅力は魚介にもあります。秋はホッケが旬で、「ホッケのちゃんちゃん焼き」や刺身、蒲焼丼など、新鮮な味を堪能できます。うに握りは利尻昆布を食べて育った濃厚な味わい。にしん刺身やタチカマのバター焼きも珍味です。
魚介以外にも「Dining cafe UMI」ではホッケバーガーやスープカレー、ウニバター和風オムライスなど、地元食材を生かしたオリジナルメニューが楽しめます。民宿さざ波の岩海苔ラーメンやタコカレーは、昔ながらの家庭の味でほっとする一品です。
礼文島の宿泊施設
今回宿泊した民宿さざ波は香深港から徒歩5分の便利な立地。1階の食堂は地元の人々も集う人気店で、食事の美味しさが評判です。客室は広めでゆったりくつろげ、朝の静かな風景と利尻富士を眺める時間は格別でした。その他、三井観光ホテルなど比較的規模の大きなホテルもあり、次回は泊まってみたいと思います。
礼文島へのアクセス
稚内からフェリーで約2時間(距離約60km)。ハートランドフェリーは1等・2等船室があり、快適な船旅が楽しめます。自由席でも座席に困ることはなく、船上から利尻富士を眺めながらの時間も贅沢です。
旅のポイント
クレジットカードが使えない施設あり(現金準備が安心)
ハイキングコースは出発地と帰着地が異なる場合あり。公共バス利用が便利
食事施設は少ないため、宿泊は食事付きが安心
島内は風が強く、防風・防寒具の準備が必要
雨天時は温泉や郷土資料館、Book愛ランド礼文なども楽しめます
秋の礼文まとめ
礼文島は、北の果てにある静かで美しい楽園です。秋は観光客が少なく、気候も穏やかでハイキングに最適。高山植物はピークほどではありませんが、まだちらほら咲いており、利尻富士を望む絶景も楽しめます。何度でも訪れたくなる、旅人の心をつかむ島──それが礼文島です。