北海道が好きな私は、ある人の言葉をよく思い出します。以前、北海道に移住した人のドキュメンタリーを見たとき、インタビュアーが「冬の生活は大変ではないですか?」と尋ねたところ、その人はこう答えました。
「北海道はね・・・冬がいいんですよ」
その言葉の意味を体感するため、今回、真冬の北海道・十勝地方を訪れました。厳しい寒さ、美しい風景、豊かな食、そして人々の温かさ。冬の北海道には想像以上の魅力がありました。
十勝に降り立つ──広大な景色に圧倒
羽田から飛行機で「とかち帯広空港」へ。到着すると、目の前に広がるのは北海道らしい畑や平原の風景です。「う~ん、まさに北海道」と思わず声が出ました。十勝は広大で農業が盛んな地域で、日本の食料供給基地とも呼ばれています。冬の雪景色はさらさらで、まるで片栗粉のような感触。冷たい空気の中でも、日差しに照らされる雪はとても清々しく感じられました。
神秘の風景──川霧が生む「雲龍」
十勝川では冬、氷点下15度を下回る放射冷却によって川面に霧が立ち上ります。高台の十勝が丘展望台から見ると、霧が龍のようにうねりながら太平洋へ流れ出す幻想的な景色が広がります。日の出とともに眺める早朝の光景は、言葉を失うほど美しく、心が洗われるようでした。展望台へは十勝川温泉エリアから無料シャトルバスが運行され、寒さ対策も万全です。
光と音の冬祭り──彩凜華
冬の十勝では「彩凜華」というイベントが開催されます。白鳥が飛来する十勝川を舞台に、光と音のファンタジーショーが繰り広げられ、地元の人々にも愛される温かいお祭りです。会場ではホットチョコレートなども振る舞われ、寒い体もほっと温まります。
家族で楽しめる温泉──ガーデンスパ十勝川温泉
十勝川温泉には2017年に開業した「ガーデンスパ十勝川温泉」があります。ここは水着や湯あみ着を着て入る混浴温泉。家族やカップルが一緒に楽しめるのが魅力です。開放的な外湯の雰囲気はヨーロッパのスパを思わせ、泉質は全国的にも珍しい「植物性モール温泉」。肌触りが滑らかで、体も心も癒されるまさに「美人の湯」です。
冬の北海道の魅力とは
今回の旅で感じたのは、北海道の冬はただ寒いだけでなく、自然や風景、食、そして人々との触れ合いを楽しめる季節だということ。十勝地方の雪は新鮮で美しく、太平洋側の晴天率の高さもあり、寒さも心地よく感じられます。豊かな大地で育まれる酪農や畑作、チーズ製造なども見どころの一つ。冬の北海道は、心も体も満たされる魅力にあふれていました。
北海道の冬は、ただの寒さではなく、美しさと温かさが共存する季節。あの言葉の意味が少しわかった気がします。雪景色を見ながら温泉につかり、地元の文化や食を楽しむ──冬の北海道、行く価値があります。