長崎港から西へ約100km、東シナ海に浮かぶ五島列島。その中心に位置する福江島は、人口約3万人、面積326平方キロメートルの島です。全国的に過疎が進む中、福江島では2019年~2020年の2年間、島を離れる人数よりも移住者の方が多かったという珍しい現象が起きました。では、なぜ多くの人が福江島に惹かれるのでしょうか。
福江島の魅力は「海」
福江島の最大の魅力は、何と言っても美しい海です。頓泊海水浴場や高浜海水浴場は、白い砂浜と透き通ったエメラルドグリーンの海が特徴で、まるで南太平洋のリゾート地のよう。高浜海水浴場は日本の渚100選にも選ばれ、遠浅で家族連れにも安心。コロナ禍の影響で混雑も少なく、ほぼ貸し切り状態で海を楽しめます。海岸線沿いの道路をバイクや自転車で走れば、次々に絵画のような景色が現れ、思わずカメラを向けたくなる光景が続きます。
観光スポットと自然
福江島の観光スポットは多彩です。島のシンボル鬼岳は、標高315メートルの芝生に覆われた山で、火口を1周する散策路も整備されています。鬼岳四季の里では、五島うどんを使った肉うどんも楽しめます。島の西端に位置する大瀬埼灯台は「日本の灯台50選」に選ばれ、九州本土で最も遅い時間に沈む夕陽を望める絶景スポットです。また、北部の城岳展望台からは、福江島全体と周辺の島々が一望でき、多島美を体感できます。
歴史的スポットも充実。福江城跡は日本で最後に築かれた城で、現在は長崎県立五島高校が本丸跡にあります。武家屋敷通りふるさと館では、江戸時代の下級・中級武士の暮らしを感じられます。海洋性気候のため冬は温暖、夏は比較的涼しく、快適に観光できます。
食文化も魅力のひとつ
福江島は新鮮な魚介類の宝庫。イサキやハガツオ、ヒラマサなど、旬の魚を刺身や寿司で堪能できます。また、五島うどんは、細めの手延べ麺に椿油を練り込み、ツルツルしこしこの食感が特徴。地獄炊きや肉うどんなど、地元ならではの味を楽しめます。小さな飲食店が多く、夕食は事前予約が必須です。
お土産も豊富
福江島では、素朴で優しい味わいのお土産が揃います。さつま芋ともち米を合わせた「かんころ餅」、粒あん入りの「治安孝行」、災い除けの「八匹雷」、栄養満点の「五島三菜」、そして定番の五島うどん。どれも上品な味わいで、島の人々の丁寧な暮らしぶりが感じられます。
世界文化遺産・潜伏キリシタン関連遺産
福江島から船で訪れることができる久賀島や奈留島には、ユネスコ登録の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」があります。宣教師不在の中、約230年もの間信仰を守った潜伏キリシタンの歴史を感じられる場所です。江上天主堂や旧五輪教会は、教会建築の名工・鉄川与助の手によるもので、信者の生活の一部として今も大切に使われています。
福江島の魅力をまとめると
福江島が多くの移住者を惹きつける理由は、大きく分けて次の3つです。
美しい海と自然:遠浅の白砂と透明なエメラルドグリーンの海、雄大な海岸線、山と島々を望む多島美。
食文化:新鮮な魚介類と五島うどん、島の味覚を存分に楽しめる食環境。
離島ならではのゆったりとした時間:日常から離れた穏やかな生活リズムと、人々の温かさ。
福江島は、旅行で訪れるのはもちろん、ワーケーションや移住先としても魅力的な島です。美しい海と食、歴史と文化が揃った島で、非日常の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。