突然ですが、皆さんは兵庫県の丹波篠山(たんばささやま)をご存知でしょうか?「黒豆」の名で知られるこの街ですが、私にとっては落語家の桂文珍さんのイメージが強く、子どもの頃は「田舎の町」と思っていました。しかし今回、初めて訪れてみると、その印象は良い意味で覆されました。丹波篠山は、歴史、自然、食、文化が絶妙に調和した魅力あふれる町でした。


丹波篠山市の歴史と町並み

丹波篠山市は1999年に篠山市として誕生しましたが、全国的な知名度やブランド力を考慮し、2019年に再び「丹波篠山市」と改名されました。市名変更の背景には、黒豆や栗、山の芋など特産品のブランド価値を守りたいという酒井隆明市長の思いがあります。市長は丹波篠山の魅力を「都市開発の波に飲み込まれることなく、美しい景観と人に浸れる町並みが残っていること」と語ります。実際、街の中心からは高層ビルは一切見えず、城下町の情緒が今なお色濃く残っています。


篠山城跡と城下町の散策

観光スポットの筆頭は、篠山城跡です。1609年に徳川家康の命により築かれた篠山城は、天守閣はありませんが大書院は京都二条城に匹敵する豪華な造りです。城内では甲冑を着ての撮影やキャッスルウェディングも可能で、歴史を肌で感じられます。

城下町の西側には御徒士町武家屋敷群が残り、当時の武士の生活を伝える安間家資料館では、炭アイロンや木製枕など珍しい生活道具を見ることができます。南東の河原町には江戸時代からの妻入商家が並び、今なお地元の生活感が漂う街並みを散策できます。


自然と文化の魅力

丹波篠山には自然や文化の魅力も豊富です。今田町の立杭地区は丹波焼のふるさとで、山の紅葉が美しいことで知られています。また、城下町近くには「まけきらい稲荷」や大国寺といったパワースポットが点在し、地元の高校生のデートスポットとしても人気です。

さらに、丹波篠山発祥の民謡「デカンショ節」は日本遺産に認定されており、歌詞の中に城や特産物、文化が込められています。街歩きをしながら、歴史や伝統文化を五感で楽しむことができるのも、この町の魅力のひとつです。


丹波篠山のグルメ

食文化も丹波篠山の大きな魅力です。特に冬の名物「ぼたん鍋」は、猪肉と地元産野菜の絶妙な組み合わせが特徴です。獅子銀では、猪肉のしゃぶしゃぶやぼたん鍋を堪能でき、脂肪分が少なくビタミンB2豊富でヘルシーです。野菜も地元産ならではの甘みと瑞々しさがあり、鍋の旨味をさらに引き立てます。

また、丹波篠山は黒豆や栗、山の芋などの特産品も豊富で、手土産やお土産に最適です。地元の菓子店やカフェでは、これらの食材を使ったスイーツやパンも楽しめ、訪れる人々を飽きさせません。


宿泊と旅の楽しみ方

丹波篠山では、古民家をリノベーションした宿や城下町に近い旅館など、多彩な宿泊施設が揃っています。歴史ある町並みを散策した後は、温かい宿でゆったりと過ごすのもおすすめです。また、季節ごとに開催されるイベントや祭りも見どころで、秋には黒豆や栗の収穫体験、冬にはぼたん鍋祭りが楽しめます。


まとめ

丹波篠山は、歴史、自然、食、文化のすべてがバランスよく揃った街です。城下町の情緒ある街並みを歩き、伝統文化に触れ、美味しい地元グルメを味わうことで、日常を忘れた特別な時間を過ごせます。次の週末や連休には、丹波篠山でゆったりとした大人の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。