石川県といえば金沢を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、その南側に広がる「加賀の國」には、まだまだ知られていない魅力が詰まっています。今回はグルメ、温泉、モノづくりに焦点をあて、その豊かさを探ってみました。
加賀の國とは?
石川県は大きく「加賀」と「能登」に分かれます。その中で金沢を除く南部――加賀市、小松市、能美市、川北町、白山市、野々市市――が「加賀の國」と呼ばれます。豊かな自然に恵まれ、霊峰白山を背景に育まれた食や文化が息づく土地です。大都会でも田舎でもない、上品で洗練された雰囲気が特徴。
その象徴ともいえるのが「白山比咩神社」。全国の白山神社の総本宮として2100年の歴史を誇り、地元では「しらやまさん」と親しまれています。
加賀グルメの奥深さ
鴨料理の名店「かが 幡亭」
加賀の郷土料理といえば「治部煮」。天然の鴨肉を伝統的な坂網猟で捕え、旨味たっぷりに仕上げます。幡亭の治部煮は、鴨本来の弾力と滋味を存分に味わえる逸品です。
かわきた名物「いちじく味噌豚丼」
川北町の特産いちじくを豚肉と味噌で炒めたご当地グルメ。温泉卵を絡めればまろやかでご飯が進む味わい。昭和レトロな「大口食堂」でぜひ。
隠れた名フレンチ「ビストロ ウールー」
野々市市で20年以上愛されるフレンチ店。能登産スズキのポワレや、酸味と甘味が絶妙な「リンゴバター」が評判。地元に根付いた実力派の一軒です。
癒しの温泉と多彩な宿
加賀温泉郷には粟津、片山津、山代、山中の4つの温泉があります。
創業700年の老舗「のとや」では、専属の接待さんによる温かなもてなしが魅力。山代温泉の「葉渡莉」では木と葉をテーマにした空間で癒されます。さらに注目は「TAKIGAHARA FARM CRAFT & STAY」。築100年の古民家を改装したホステルで、デザインと農村暮らしが融合した新しい滞在体験を楽しめます。
匠の技と伝統文化
水引アクセサリー
野々市市の「かねこ結納品店」では、水引をモダンにアレンジしたアクセサリーが人気。軽くて丈夫、縁起の良いモチーフは日常使いにも最適です。
滝ヶ原石の石切場
小松市の「石材荒谷商店」では、白く柔らかい凝灰岩「滝ヶ原石」を今も手作業で切り出し。職人の息遣いが感じられる現場です。
献上加賀棒茶
加賀市の「丸八製茶場」が手掛ける棒茶は、一番茶の茎を焙煎した芳ばしい香りが特徴。昭和天皇に献上された由緒ある一杯です。
九谷焼
加賀を代表する伝統工芸。鮮やかな絵付けが特徴ですが、作家の個性によって表現は多彩。九谷陶芸村でその世界観を体験できます。
地酒と和菓子文化
日本酒は「菊姫」の熟成酒や「夢醸」のすっきり辛口が有名。食文化に寄り添う味わいが魅力です。
またお菓子文化も健在で、「おもてや」の餡たっぷり大判焼き、「しもつね」の柔らかい豆大福、加賀独自の16条ルールを持つ「加賀パフェ」など、旅の合間に楽しみたい逸品が揃います。
まとめ
金沢の陰に隠れがちな加賀の國ですが、食、温泉、伝統文化のすべてがぎゅっと詰まった宝箱のようなエリアです。2025年には北陸新幹線の延伸でアクセスもさらに便利に。次の旅ではぜひ加賀の國まで足を延ばし、その奥深い魅力を体感してみてください。