富良野といえば、夏はラベンダー畑、冬はスキー、そしてドラマ『北の国から』の舞台としても知られる人気観光地。その中心部から車で20分ほど、芦別岳の麓にある小さな町「山部(やまべ)」をご存じでしょうか。観光地化されていない素朴なエリアですが、実はここに、北海道らしい清らかな朝を味わえる宿泊施設「太陽の里・ふれあいの家」があります。
大自然に包まれた“北海道の朝”
太陽の里があるのは、標高1,726mの芦別岳のふもと。澄み渡る空気と広大な景色が何よりの魅力です。朝、外に出ると空気が透きとおり、十勝岳や富良野岳を望む景色に心が洗われるよう。スマホの「空気質指数」を調べると、東京が「66(中程度)」だったのに対し、山部では「20」と表示されるほど。実際に深呼吸するとその違いを体で感じられます。
宿泊棟の裏には芝生の広場が広がり、ブランコや滑り台がぽつんと並ぶ光景はどこか懐かしい田舎の風景。子どもたちが駆け回る姿を想像するだけで心が和みます。
気取らないのに心に残る食事
「太陽の里」のもう一つの魅力が食事です。夕食には名物「石焼ジンギスカン」。富士山の溶岩石を熱して焼くスタイルで、肉がふっくらジューシー。地元野菜も新鮮で、特に「軟白ねぎ」の甘さと柔らかさには驚かされます。
さらに、地元産米「ななつぼし」と、地元のお母さんたちが仕込む「ふらの農味噌」で作られた味噌汁は、素朴ながら心に残る味。特別豪華ではないのに、思わずおかわりしてしまうごはんです。朝食も派手さはありませんが、清らかな味噌汁と炊き立てのご飯で「毎日食べたい」と思わせる温かさがありました。
宿泊もキャンプも楽しめる施設
太陽の里は宿泊だけでなく、無料キャンプ場やパークゴルフ場、テニスコートなども揃っています。夏にはホタル鑑賞会や星空観察会も開かれるなど、子ども連れやアウトドア派にも嬉しい環境。芦別岳登山の拠点として利用する人も多いそうです。
宿泊棟の部屋は広々として快適。唯一、部屋のトイレがシャワートイレでないのは改善を望みたいところですが、全体的には価格以上の満足感が得られる施設です。
周辺観光も魅力的
山部自体は観光地ではありませんが、車を走らせれば見どころが点在しています。『北の国から』のロケ地・麓郷や、北海道名水百選「原始の泉」などは立ち寄り必須。布礼別エリアの畑風景はまるでトスカーナの田園を思わせる美しさで、富良野の新しい一面に出会えるでしょう。
まとめ ― 北海道らしさを求める人に
富良野の中心部のリゾートホテルも快適ですが、もし「北海道らしい朝を体感したい」と思うなら、山部の「太陽の里」がおすすめです。豪華さはありませんが、清らかな空気、素朴で美味しい食事、そして広がる自然。心も体もリセットできる時間がここにはあります。
観光で賑わう富良野からほんの少し足を延ばすだけで出会える穴場宿。「次の北海道旅は、ここで朝を迎えてみよう」――そう思わせる場所でした。