蔵王温泉は山形県の代表的な温泉地のひとつ。開湯は西暦110年頃と伝えられ、日本武尊(やまとたけるのみこと)の東征に従った吉備多賀由(きびのたがゆ)が発見したとされています。1900年以上もの歴史を誇り、古くから地域の人々や旅人に親しまれてきました。江戸時代には蔵王権現への登山口として栄え、昭和にはスキー場や観光インフラの整備が進み、東北最大級の総合マウンテンリゾートとして発展しています。

東北随一の強酸性硫黄泉は「美人の湯」としても有名

蔵王温泉の湯は、強酸性の硫黄泉が特徴。pHは1.25~1.6と非常に酸性が強く、源泉温度は45~66℃。豊富な湯量は毎分約5,700リットル、一日に換算すると約8,700トンにも達します。硫黄成分は血行を促進し、皮膚の殺菌作用や新陳代謝を活発にするため「美肌効果」が高く、古くから“美人の湯”としても知られてきました。湯治客からは、慢性皮膚病や関節痛、冷え性、疲労回復にも効果があると評判です。

ただし、強酸性泉のため、皮膚や粘膜が過敏な方や急性疾患のある方、高齢者や妊娠中の方は注意が必要です。入浴前には適切な情報を確認し、無理のない範囲で楽しみましょう。

渓流沿いの大露天風呂で自然と一体に浸る贅沢

蔵王温泉街には、3つの共同浴場や5つの日帰り温泉施設、さらには足湯スポットが点在しています。なかでも「蔵王温泉大露天風呂」は、自然の渓流沿いに広がる開放的な露天風呂として有名です。川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら、白濁した硫黄泉にゆったりと浸かれば、まさに心身の疲れがほぐれていきます。冬季は閉鎖されるものの、春から秋にかけての開放感は格別です。

温泉街で味わう絶品ご当地グルメ「稲花餅」

蔵王温泉の散策では、温泉街にある和菓子店の「稲花餅(いがもち)」も見逃せません。ふんわり柔らかい白い餅の中にこしあんが詰まった一品で、地元の人々から愛されている伝統の味。温泉で温まった後の甘味としてもぴったりで、旅の思い出にぜひ味わいたいグルメです。

ロープウェイで山頂へ!四季折々の大自然と絶景トレッキング

蔵王温泉は山麓から標高約1600メートルの山頂テラスまでをつなぐロープウェイも運行しています。春の新緑、夏の涼風、秋の紅葉、冬の雪景色と四季折々の景色を楽しめるほか、山頂付近には遊歩道が整備されており、気軽にトレッキングが楽しめます。特に「御釜(おかま)」と呼ばれる火口湖はエメラルドグリーンに輝く神秘的な景観で、多くの観光客を魅了しています。

温泉街で楽しむ湯めぐり散歩

蔵王温泉の温泉街には、宿泊施設だけでなく日帰りでも利用可能な共同浴場や足湯が複数あります。白濁の硫黄泉は施設によって微妙に泉質や湯加減が異なり、湯めぐりをすることでさまざまな温泉の魅力を堪能できます。宿泊施設によっては外来入浴も受け入れているため、日帰りでも十分に楽しめます。

アクセス良好で気軽に訪問可能

蔵王温泉へは、JR山形駅から山交バスで約40分、または東北中央自動車道の山形上山ICから約25分、山形自動車道の山形蔵王ICから約20分とアクセスも良好です。車や公共交通機関を使い分けて、日帰りはもちろん宿泊でゆっくり温泉と自然を満喫するのがおすすめです。


1900年の歴史を誇る蔵王温泉は、強酸性硫黄泉の効能で美肌づくりに最適な温泉地。自然に囲まれたロケーションと豊富な湯量を活かした湯めぐりや、山頂の絶景トレッキング、温泉街のグルメなど見どころも満載です。四季折々の表情を見せる蔵王の温泉旅で、日々の疲れを癒やしに訪れてみてはいかがでしょうか。