江戸時代の面影を色濃く残す秋田県仙北市の「角館(かくのだて)」。武家屋敷が立ち並ぶその町並みは“みちのくの小京都”と称され、国内外から多くの観光客が訪れる人気のスポットです。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された表通りには、今もなお歴史的建築物が残り、桜、新緑、紅葉、雪景色と、四季折々の風情を楽しむことができます。
タイムスリップ気分を味わえる「角館武家屋敷通り」
かつては佐竹北家の城下町として栄えた角館。現在も町の中心部には、藩政時代の姿をそのままに残す武家屋敷が点在しています。武士の町だった“内町”と、町人が暮らした“外町”が“火除(ひよけ)”と呼ばれる広場を境に分かれ、それぞれに異なる趣を感じられるのも特徴です。
武家屋敷通りには、現在公開されているものだけでも「石黒家」「角館歴史村・青柳家」「岩橋家」「松本家」「河原田家」「小田野家」の6軒があり、そのうちいくつかは今なお住宅として使われている貴重な建物。黒塀に囲まれた屋敷のたたずまいは、訪れる人を江戸時代へと誘います。
着物レンタル&人力車で優雅な町歩きを
角館では着物レンタルサービスを提供する店舗もあり、アンティーク着物に着替えて町を散策するのが人気。風情ある町並みを着物姿で歩けば、まるでタイムスリップしたような気分を味わえます。
さらに、武家屋敷通りを人力車で巡ることも可能。地元を熟知した車夫によるガイドを受けながら、角館の歴史や建物の見どころを学ぶことができ、より深くこの町の魅力を堪能できます。発着地のひとつとなる「樺細工伝承館」では、角館の伝統工芸である樺細工の展示も楽しめます。
1年を通して楽しめる。中でも桜の季節は圧巻!
角館の魅力は四季を通じて楽しめる点にもあります。春はシダレザクラとソメイヨシノが咲き誇り、桜の名所として全国的に有名。見頃は4月下旬から5月上旬で、武家屋敷の黒塀と桜色のコントラストが風光明媚な景観を生み出します。町内には約400本のシダレザクラがあり、うち162本は国の天然記念物に指定されているというから驚きです。
夏は緑がまぶしい新緑の季節、秋は紅葉で町が彩られ、冬には雪化粧をまとった町並みが幻想的な景観を見せてくれます。どの季節に訪れても、その時だけの角館の表情に出会えるのが魅力です。
アクセス・基本情報
所在地:秋田県仙北市角館町表町~東勝楽丁
アクセス:JR角館駅より徒歩約15〜20分/秋田自動車道「大曲IC」より車で約40分
駐車場:周辺に有料駐車場あり
トイレ:通り周辺に複数あり
散策:自由(屋敷内見学は有料施設あり)
JR角館駅前には、観光案内所を兼ねた「角館駅前蔵」があり、ここでパンフレットや地図を入手してから出発するのが便利です。英語表記も整っているため、海外からの観光客にも人気。町のあちこちで案内表示やお土産店も充実しており、ゆったりとした時間の流れの中で、江戸情緒あふれる町歩きを楽しめます。
角館武家屋敷通りは、まさに「生きた歴史」を感じられる場所。桜の季節だけでなく、ぜひ四季折々の表情を求めて何度でも訪れたくなる観光地です。