印象派とポスト印象派の巨匠、夢の競演

2025年5月29日から9月7日まで、東京・丸の内の三菱一号館美術館にて「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」展が開催されています。本展は、フランス・パリのオランジュリー美術館が企画・監修を手がけた世界巡回展で、日本での開催はこの会場が唯一。印象派を代表するルノワールと、ポスト印象派の先駆者セザンヌという2人の巨匠に焦点を当て、彼らの代表作を一堂に紹介する貴重な機会となっています。

代表作から浮かび上がる“モダン・アート”の萌芽

展示作品は油彩画を中心に52点。ルノワールの《ピアノの前の少女たち》や、セザンヌの《画家の息子の肖像》などの肖像画、静物画、風景画が並びます。それぞれ異なる個性と画風を持ちながらも、19世紀末から20世紀初頭にかけての美術の革新に大きく貢献した2人。その表現の変遷をたどることで、モダン・アートの源流に迫ることができます。

ピカソも登場―巨匠たちが築いた美術史の系譜

本展では、ルノワールとセザンヌに影響を受けたパブロ・ピカソの作品も展示されており、2人の芸術が後世に与えた影響の大きさを実感できます。芸術家同士の関係性や、彼らがどのように新たな表現を切り拓いていったのかが、作品を通じて浮き彫りになります。

知られざる交友と人間性にも注目

性格や出自も対照的だったルノワールとセザンヌ。ルノワールは職人の家庭に生まれ、明るく社交的な性格。一方、銀行家の家に生まれたセザンヌは内向的で孤独を好んだといわれています。そんな2人が南仏・プロヴァンスでともに制作に励み、家族ぐるみの交流があったというエピソードも紹介されており、人間的な側面にも光が当たっています。

夜間開館やお得なセット券も

展覧会は、祝日を除く金曜と第2水曜、8月の毎週土曜、会期末の9月1日〜7日には20時までの夜間開館も実施。また、同じ丸の内エリアにある静嘉堂文庫美術館とのセット券(3,600円)も販売されており、夏休みの文化的なお出かけにぴったりです。

観覧料は一般2,500円、大学生1,500円、高校生1,300円、中学生以下は無料。第2水曜の「マジックアワーチケット」や、数量限定の早割ペアチケット(2名で4,000円)など、さまざまな割引制度も用意されています。

会場アクセスと注意事項

三菱一号館美術館は、東京駅や有楽町駅から徒歩圏内の好立地。地下通路を利用すれば、天候に左右されず快適にアクセス可能です。なお、展示室内にはA4サイズ以上の手荷物は持ち込めないため、ロッカーの利用が推奨されています。


印象派からポスト印象派、そしてモダン・アートへと続く系譜。その中核を担った2人の巨匠に出会える、またとないこの機会をお見逃しなく。