名古屋のシンボルとして広く知られる「名古屋城」。江戸時代260年を通じて御三家筆頭・尾張徳川家の居城として繁栄し、その壮麗な姿と歴史的価値から、現在では国の特別史跡にも指定されています。

築城は1610年(慶長15)、徳川家康の命により加藤清正や福島正則など20家の大名が参加して始まりました。東海道防衛と西国大名への抑止を目的とし、家康の子・義直が初代藩主として入城。以後、江戸幕府を支える拠点として重要な役割を果たしました。


見どころ①:本丸御殿 – 豪華絢爛な武家文化の象徴

空襲で焼失した天守閣とともに、かつて国宝第一号に指定されていた「本丸御殿」は、近世武家文化を今に伝える貴重な建築です。2018年に復元が完了し、狩野派の絵師が手がけた障壁画や豪華な飾金具、精緻な書院造の空間が忠実に再現されています。

「表書院 上段之間」などでは、格式ある武家の生活様式を体感できるほか、建築技術の高さにも目を見張るばかり。内部見学は、訪問者の多くが「まるで美術館のよう」と称するほどの見応えがあります。


見どころ②:金鯱と天守閣 – 名古屋城の象徴

名古屋城の代名詞といえば、金色に輝く「金鯱(きんしゃち)」。かつて天守閣の最上部に設置され、その豪華さで他城に圧倒的な差をつけました。現在は再建された天守閣に据えられていますが、建物自体は耐震性の課題から閉館中です。

それでも城外から見上げる天守閣と金鯱の姿は、堂々たる風格と美しさを誇り、名古屋観光のハイライトのひとつです。


見どころ③:二之丸庭園・隅櫓・石垣 – 広がる城郭美

藩主の庭としては日本最大規模を誇る「二之丸庭園」も見逃せません。池泉回遊式の庭園には四季折々の草花が咲き、散策には絶好のスポットです。

また、江戸時代から現存する「隅櫓(すみやぐら)」は重要文化財に指定されており、往時の築城技術を今に伝えています。加藤清正をはじめとする諸大名が築いた石垣も見事で、特に「清正石」と呼ばれる巨石は迫力満点です。


歴史とまちづくりの出発点

名古屋城の築城とともに、家康は清須から町を丸ごと移す「清須越(きよすごし)」を実施。碁盤割りの町割りを採用し、現在の名古屋市の原型がここに築かれました。名古屋城は、単なる軍事施設にとどまらず、まちづくりの中心としても重要な役割を果たしてきたのです。


多彩な展示と史資料が充実

城内には、本丸御殿を彩る障壁画のほか、『金城温古録』や昭和期の実測図、ガラス乾板写真など貴重な資料も多数保存・公開されています。また、「西の丸御蔵城宝館」では、名古屋城ゆかりの文化財や刀剣、絵画などを展示。歴史的背景をより深く知ることができます。


季節の花や体験イベントも楽しみ

春は桜、初夏は花菖蒲、秋は紅葉と、四季折々の自然に彩られる名古屋城は、花の名所としても人気です。運が良ければ、「名古屋おもてなし武将隊」や「徳川家康と服部半蔵忍者隊」にも出会えるかもしれません。写真撮影や歴史ガイドも楽しめ、観光客との交流が魅力です。


基本情報

  • 住所: 愛知県名古屋市中区本丸1-1

  • 営業時間: 9:00~16:30(本丸御殿最終入場16:00)

  • 休館日: 12月29日~31日、1月1日(イベントにより変動あり)

  • 料金: 大人500円~、名古屋市内高齢者100円~、中学生以下無料

  • アクセス:
     ・地下鉄名城線「市役所駅」7番出口より徒歩約5分
     ・名古屋高速都心環状線「丸の内出口」より車で約5分

  • 駐車場: あり(30分ごとに180円)

  • 電話番号: 052-231-1700

  • 公式サイト: 名古屋城公式サイト


江戸の威光と近世建築の粋を凝縮した名古屋城。歴史と美を感じる空間で、名古屋の原点と出会ってみませんか?観光はもちろん、学びの場としてもおすすめのスポットです。