明治の面影を今に伝える、札幌の象徴的建築物

札幌の中心部にひっそりとたたずむ「札幌市時計台」。白い壁と赤い屋根が特徴的なこの木造建築は、今なお毎正時に鐘の音を響かせ、市民や観光客に時を告げています。その歴史は古く、建設は明治11年(1878年)。国の重要文化財にも指定されている、日本で最も古い現存の時計塔です。

正式名称は「旧札幌農学校演武場」。北海道大学の前身・札幌農学校の施設として建てられたこの建物は、クラーク博士の提言に基づき、第二代教頭ホイーラーの設計図案をもとに、開拓使の建築技術者・安達喜幸らが設計・監督を行いました。もともとは生徒の兵式訓練や式典の会場として使われていた建物で、明治14年には米国E・ハワード社製の塔時計が取り付けられ、1888年に札幌の標準時計に指定されました。


外観だけではもったいない、館内で学ぶ時計台の歴史

館内は2階建てで、1階は資料展示室、2階はホールとして構成されています。展示室では、札幌農学校や演武場としての歴史、明治の札幌を襲った大火とそれに立ち向かった学生たちの逸話、そして現在に至るまでの変遷が写真や模型、映像資料で紹介されています。薄緑色の内壁は、かつて壁面が緑色だった時代の名残でもあり、当時の雰囲気を伝えています。

1階の大展示室には、VTRによる解説スペースや、時計台に関する蔵書を集めた図書スペースもあり、時間をかけてじっくり見学するのもおすすめ。ボランティアガイドが駐在していることもあり、運が良ければ詳しい説明を聞けるかもしれません。


2階ホールではクラーク博士と記念撮影も

かつては授業や講演会に使われていた2階のホールには、2017年に設置されたクラーク博士の等身大像があり、来館者が隣に座って記念撮影できる人気スポットになっています。さらにホール内には、札幌市時計台の心臓部である塔時計の“姉妹機”が展示されています。これは本体と同じくE・ハワード社製で、重りと振り子によって時を刻む仕組みがわかるようになっています。

本体の塔時計は現在も現役で稼働中で、週に2回のネジ巻き作業によって駆動。毎朝9時15分からは館長による姉妹機を使ったネジ巻きのデモンストレーションも行われ、貴重な仕組みを間近で学ぶことができます(不定期開催)。


撮影スポットも充実、写真を撮るならここ!

札幌市時計台を訪れたら、記念写真を撮るのも旅の楽しみのひとつ。敷地内の指定スポットではスマートフォンを縦構図で構えると建物全体をきれいに撮影できます。また、道路を挟んだ正面にある「札幌MNビル」2階のテラスや、近隣の札幌市役所裏手、さらには市役所19階の展望回廊(夏季限定)も、上から時計台を望めるおすすめの撮影ポイントです。


おみやげもユニークに

館内入口には小さなミュージアムショップも。札幌銘菓のほか、時計台のデザインが入った缶入りキャンディーや、クラーク博士モチーフのバター飴、マグネットやキーホルダーなど、ここだけのオリジナルグッズも販売されています。観光の思い出に立ち寄ってみる価値ありです。


夜には幻想的なライトアップも

館内の見学時間は17時までですが、日没後には外観がライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な姿が楽しめます。白い壁にLEDの光が映え、冬には雪とのコントラストも美しく、写真映えも抜群。ライトアップは毎日21時30分まで実施されているので、夜の街歩きの際に立ち寄るのもおすすめです。


基本情報

  • 所在地: 札幌市中央区北1条西2丁目

  • 開館時間: 8:45~17:10(最終入館17:00)

  • 休館日: 1月1日~3日

  • 入館料: 大人350円、大学生・高校生150円、高校生以下無料

  • 駐車場: なし(周辺コインパーキングを利用)

  • 電話番号: 011-231-0838

  • 公式サイト: http://sapporoshi-tokeidai.jp/

  • 備考: スロープ付き(冬季は利用困難な場合あり)、車椅子対応駐車場あり(要事前連絡)