東京国立近代美術館では、企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が2025年12月16日(火)から2026年2月8日(日)まで開催される。本展は愛知・豊田市美術館などへ巡回する予定で、戦後日本美術における女性芸術家の位置づけを改めて問い直す試みだ。
第二次世界大戦後の1950〜60年代、日本の前衛美術の舞台では一時期女性芸術家が注目を集めた。しかし、その功績は長らく十分に語られることなく、美術史の中で影が薄くなっていた。本展では、当時の動向をジェンダーの視点から再検討し、「アンチ・アクション」というキーワードを通じて、彼女たちがいかに独自の表現を切り拓いたのかを探る。
当時、日本に大きな影響を与えたのは欧州から流入した抽象芸術運動「アンフォルメル」だった。女性芸術家たちはこれに呼応し、多様な創作を展開した。しかし、その後「アクション・ペインティング」という概念が広まると、男性的表現との結びつきが強調され、批評の場から女性の作品が排除される傾向が強まった。そうした歴史的経緯を踏まえ、本展は戦後日本美術における女性たちの存在を改めて浮き彫りにする。

展示には、草間彌生の代表作をはじめ、田中敦子《地獄門》、芥川(間所)紗織《スフィンクス》、山崎つる子《作品》など、14名の芸術家による約120点が並ぶ。さらに、赤穴桂子や多田美波、宮脇愛子らによる初公開の初期作や未発表作品も出品され、戦後美術の新たな側面を知ることができる貴重な機会となる。
女性作家たちが直面した社会的・批評的状況をたどりつつ、その独自性や挑戦を体感できる本展は、これまでの美術史の語りを更新し、未来へとつなげるための重要なステップともいえるだろう。

展覧会概要
企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」
会期:2025年12月16日(火)~2026年2月8日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
開館時間:10:00〜17:00 (金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日 (1月12日(月・祝)は開館)、12月28日(日)~1月1日(木・祝)、1月13日(火)
観覧料:一般 2,000円(1,800円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生以下・18歳未満 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※チケットは東京国立近代美術館(当日券のみ)、公式チケットサイト(e-tix)で販売
※障害者手帳の提示者および付添者1名は無料
※本展観覧券で、同日開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」(4〜2F)も観覧可
■出品作家
赤穴桂子、芥川(間所)紗織、榎本和子、江見絹子、草間彌生、白髪富士子、多田美波、田中敦子、田中田鶴子、田部光子、福島秀子、宮脇愛子、毛利眞美、山崎つる子
【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL:050-5541-8600