ロドリリオン(RHODOLIRION)が2026年春夏コレクションを発表した。今季のテーマは、ニューヨークの街に息づく日常着へのオマージュを込めた「I Love RHODOLIRION」。トラッドなアメリカンカジュアルを基調にしながら、リアルクロージングの要素を巧みに取り入れ、軽やかで遊び心あるスタイルを提示している。
象徴的に登場するのは「I Love RN」の総柄ロゴを配したチュールウェア。よく見ると、ハート部分にはブランドアイコンであるツバメが潜み、ユーモアと独自性を演出。ドレスやパンツ、ヘッドウェアに至るまで、アクセントとして随所に散りばめられている。
アメリカンカジュアルの粗野な雰囲気を和らげる工夫も印象的だ。M-65ジャケットは、大ぶりのポケットやミリタリー要素を踏襲しつつ、光沢感あるサテン生地で仕立てることで上品に昇華。胸のパッチや腕章も同系色でまとめ、都会的な空気を纏わせている。カレッジスウェットのパーカーには切りっぱなしの襟元を取り入れ、縁がくるりと丸まることで古着のような抜け感を醸し出した。

着こなしの幅を広げる仕掛けも多彩だ。ストライプシャツは前身頃を二重構造にし、ボタンの掛け方次第でシルエットを変化させられる。ボタンをずらして留めればアンバランスな印象となり、意図的な崩しを楽しめる。ショーツは留め方を変えることでラップスカート風に変形でき、キャミソールは肩紐を上下に備えて折り畳みながらアレンジ可能。デザインに込められた遊び心が着こなしを一層自由にしている。
さらに今季は、布地をたっぷり使ったアイテムをドローストリングで絞ることで立体的なフォルムを形成。フード付きジャンパーやチューブトップのジャンプスーツ、裾を絞ってバルーンパンツのように変化させるデザインなど、造形的なシルエットも目を引いた。
ブランドのシグネチャーであるフリルも健在。膝下丈のテーラードパンツやユーティリティパンツなど、マスキュリンなアイテムに甘さを添える要素として取り入れ、独自のバランス感覚を表現している。さらにトレンチコートの肩にタックを加えて自然な丸みを出したり、ギャザーを寄せたキャミソールにチュールを忍ばせて立体感を演出するなど、細部のディテールにまで工夫が光った。
ニューヨークの日常着を出発点としながら、そこにロドリリオンらしい解釈を加えることで、自由でエレガントな新しい春夏の装いを描き出している。
