1300年の歴史を誇る佐賀の名湯
佐賀県嬉野市にある「嬉野温泉」は、1300年以上の歴史を持つ日本屈指の温泉地です。肥前国風土記(713年)にも「東の辺に湯の泉ありて能く人の病を癒す」と記され、古くから人々に親しまれてきました。地名の由来はユニークで、神功皇后が戦いの帰途に立ち寄った際、川中に湧く温泉と白鶴の姿を目にし、兵士の傷を癒す湯を喜んで「あな、うれしの」と言ったことから名付けられたと伝わります。
江戸時代には長崎街道の宿場町として栄え、1826年にはシーボルトも訪問。今も温泉街には伝統ある旅館や老舗が軒を連ね、情緒ある街並みが広がっています。
とろりとした肌ざわり——美肌の秘密
嬉野温泉の魅力は、なんといっても泉質です。源泉温度は85〜90度、泉質はナトリウム炭酸水素塩・塩化物泉。ナトリウムを多く含む無色透明の重曹泉は、肌の余分な皮脂を落とし、角質化した皮膚を滑らかにします。その湯ざわりはとろりとしており、まるで美容液に浸かっているかのよう。湯上がりには肌がしっとり、すべすべになり、“日本三大美肌の湯”の名にふさわしい効能を実感できます。
リューマチや神経痛、皮膚病などにも効果があるとされ、飲めば胃腸にも良いと評判。一度この温泉に浸かると、その魅力に取りつかれ、また訪れたくなると語られるほどです。
温泉街の魅力と名物グルメ
嬉野川沿いには、趣向を凝らした温泉旅館や宿泊施設が並び、足湯も点在。赤い屋根が印象的な足湯広場や、屋根付きの足湯スポットでは、気軽に“美肌の湯”を楽しめます。宿泊施設によっては貸出タオルのサービスもあり、温泉街を散策しながら立ち寄るのもおすすめです。
湯上がりグルメといえば「温泉湯どうふ」。嬉野の温泉水で煮ると豆腐がとろけ、まるでクリームのような口当たりになります。温泉街の飲食店や旅館で味わえ、訪れたらぜひ試したい逸品です。また、嬉野市の特産である「嬉野茶」の茶畑も見どころ。爽やかな香りの緑茶は土産にも喜ばれます。
嬉野ならではの工芸品
お土産には「肥前吉田焼」や「志田焼」といった地元の焼物もおすすめ。有田焼とは異なる風合いとデザインが魅力で、日常使いにもぴったり。温泉街のショップや窯元で購入できます。
アクセスと観光情報
嬉野温泉へは、長崎自動車道・嬉野インターチェンジから車で約5分。JR嬉野温泉駅からは車やバスで7分ほどと、交通の便も良好です。各旅館には駐車場が完備されているため、車での訪問も安心。観光の問い合わせは「嬉野温泉観光協会」が対応しています。
所在地:佐賀県嬉野市嬉野町一帯
駐車場:各旅館にあり
アクセス:
車/長崎自動車道 嬉野ICから約5分
公共交通/嬉野温泉駅から車で約5分
問い合わせ:嬉野温泉観光協会(TEL:0954-43-0137)
嬉野温泉は、温泉そのものの質の高さに加え、歴史や文化、グルメ、工芸品と多彩な魅力を備えた温泉地です。とろけるような湯に浸かり、湯どうふを味わい、情緒あふれる街並みを歩く——そんな贅沢な時間を過ごせる嬉野温泉は、まさに“また訪れたくなる”場所といえるでしょう。