東京・浅草、隅田川のたもとに佇む「駒形前川」は、創業からおよそ220年を数える老舗のうなぎ料理専門店です。江戸の情緒を色濃く残すこの地で、代々受け継がれてきた味と技に舌鼓を打ちながら、四季折々の隅田川の景色を楽しめる、まさに“食と風景の芸術空間”といえるでしょう。

歴史が育んだ名店の味

「駒形前川」の創業は、文化・文政期(19世紀初頭)。もとは川魚問屋でしたが、初代・勇右衛門が鰻料理専門店として開業。屋号は、店が隅田川(通称「大川」)沿いに位置していたことに由来します。当時は舟で来店する客も多く、粋人たちは舟で中洲から柳橋を遊覧し、前川で鰻を堪能するのが定番のコースだったといいます。

歴代の当主は、「包丁を持たねば前川の蒲焼にならぬ」という信念のもと、自ら厨房に立ち、代々変わらぬ味を守り続けてきました。職人の手仕事と誇りが、味の芯を支えています。

室内楽を思わせるデリケートな味

「室内楽を思わせるデリケートな味」──これは、作曲家・山田耕筰が前川の鰻を評した言葉です。素材選びから調理法にいたるまで徹底してこだわり抜かれた一品は、しっかりとした旨味を持ちつつ、後味はあっさりと上品。蒸し・焼きともに丁寧な焼き返しが施され、口の中でふんわりとほどける柔らかさと、秘伝のタレが絶妙に絡み合います。

このタレこそ、前川の味の象徴。創業以来、代々継ぎ足しで守られてきた秘伝の調味液で、うなぎの旨味を一層引き立てています。

素材へのこだわり──“うなぎ坂東太郎”

「駒形前川」では、天然うなぎに限りなく近い味と食感を再現したブランド養殖うなぎ「坂東太郎」を使用。スケソウダラやアジのすり身をブレンドした特製の餌で健康に育てられ、川魚特有の“クセ”をあえて活かした風味が特徴です。

ビタミンEやDHA、EPAなどの栄養価も高く、旨味と栄養の両面から満足感のある一品です。なお、絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの保護の観点から、天然物の使用は控えています。

隅田川を望む絶景とともに

本店は都営浅草線「浅草駅」から徒歩1分、銀座線・東武線からも徒歩圏内という好立地にあり、店内からは大正末期〜昭和初期にかけて建設された趣ある「駒形橋」越しに隅田川の流れを望めます。全席テーブル席で、宴会やファミリー利用にも対応。2〜4階には個室や中規模な会食に最適な部屋もあり、様々なシーンに寄り添います。

ランチ・ディナーともに営業しており、看板メニューの「うな重」や、わさび醤油でさっぱりと味わう「白焼き」など、好みに応じて選べるメニューも豊富です。

店舗は都内3か所。通販でも味わえる老舗の味

「駒形前川」は浅草本店のほか、東京駅近くの「新丸ビル店」、東京スカイツリータウン内の「ソラマチ店」も展開。それぞれの立地で、前川の伝統の味を楽しむことができます。

さらに、オンラインショップでは「うな重弁当」や「ローストうなぎ」などのテイクアウト商品も販売。自宅用はもちろん、大切な人への贈答品としても人気です。


店舗情報(一部抜粋)

浅草本店
東京都台東区駒形2-1-29/TEL:03-3841-6314
都営浅草線「浅草駅」A2出口徒歩1分
営業時間:11:30〜21:00(L.O.20:00)/無休

新丸ビル店
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング5F/TEL:03-3211-7017

東京スカイツリー ソラマチ店
東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ7F/TEL:03-5610-3099