大阪中之島美術館では、展覧会「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」が2025年12月13日(土)から2026年3月8日(日)まで開催される。本展は終了後、東京オペラシティ アートギャラリーへ巡回する予定だ。

1924年にアンドレ・ブルトンが定義した「シュルレアリスム」は、フロイトの精神分析を背景に、無意識や夢を重視する芸術思潮として誕生した。当初は文学運動として始まったが、その後はオブジェや絵画、写真といった美術表現に広がり、さらには広告やファッション、インテリアといった日常生活の領域にまで影響を及ぼした。今回の展覧会では、その拡張するシュルレアリスムの広がりを多角的に紹介する。

会場には、サルバドール・ダリやルネ・マグリットなどをはじめ、日本国内に所蔵されている貴重な作品が一堂に集結。オブジェ、絵画、写真、ファッションなどのジャンルを横断し、シュルレアリスムが芸術のみならず社会全体に浸透していった軌跡をたどる。ブルトンが語った「夢の全能性への信頼」や「高次のリアリティ」といった思想が、どのように造形表現に結びついたかを知ることができる内容だ。

展覧会の前半では、文学的な実験精神から生まれたシュルレアリスムが視覚芸術に展開していく過程を紹介。マグリットの《王様の美術館》《レディ・メイドの花束》、イヴ・タンギー《失われた鐘》、ヴォルス《美しい肉片》など、幻想的かつ独創的な作品群が展示される。また20世紀の重要な表現媒体である写真にも焦点を当て、シュルレアリスムの多様な側面を提示する。

後半では、芸術の枠を越えて日常生活に入り込んだシュルレアリスムをクローズアップ。ファッションの分野では、前衛的な手法を取り入れた装いや雑誌の表現に加え、マネキンを身体のオブジェとして捉える試みなども取り上げられる。エルザ・スキャパレッリによる華麗なイヴニングドレスがその一例で、ファッションと芸術の境界を揺るがす展示となる。また、広告やインテリアに見られるシュルレアリスム的な表現も紹介され、芸術と社会の関係性を改めて考えさせる構成となっている。

本展は芸術的潮流の紹介にとどまらず、社会や政治にも影響を与えたシュルレアリスムの多面性を示す貴重な機会。幻想的なイメージが現代にどう息づいているかを体感できる展覧会だ。

【展覧会概要】
展覧会名:「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」
会期:2025年12月13日(土)~2026年3月8日(日)
[前期:12月13日~1月25日 / 後期:1月27日~3月8日]
会場:大阪中之島美術館 4階展示室(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜(1月12日、2月23日は開館)、年末年始(12月30日・31日、1月1日)、1月13日、2月24日
観覧料:一般1,800円/高校・大学生1,500円/小・中学生500円 ※団体割引あり
チケット発売:2025年11月13日(木)10:00より

■巡回情報
東京会場:2026年4月16日(木)~6月24日(水)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)

【問い合わせ先】
大阪市総合コールセンター(なにわコール)
TEL:06-4301-7285(8:00~21:00 / 年中無休)