東京を拠点に活動するデザイナー藤田茂樹が手掛けるブランド「DDDD(ディフォー)」が、2025年9月9日(火)に東京タワーメディアセンターで2026年春夏メンズコレクションを発表した。ブランドのコンセプトである「怠けたドレスアップ(Dress Up Lazy)」を軸に、リラックス感と緊張感を絶妙に共存させた新たなコレクションが披露された。
「構造的アプローチ」によるフォルムの探求
今シーズンのテーマは「構造的なアプローチ」。藤田は折り紙を用いたシミュレーションなど、自ら手を動かしながら服のフォルムを探求。偶発的な発見から生まれる新しい形を積極的に取り入れることで、緊張感と柔らかさが共存する独特のシルエットを生み出した。
象徴的なデザインとしては、大胆なドッキングが挙げられる。袖が4本あるシャツやカットソー、半ズボンとロングパンツが一体化したボトムス、構築的なトレンチコートなど、服そのものがユニークな形を描き、着用することで立体感や動きが際立つ。
ユニークなシルエットの数々
白シャツは、袖が従来の2倍に設定され、前に垂れ下がることで全体にドレープを形成。前後を逆に着ても美しい曲線が描けるよう計算されており、従来のシャツの概念を刷新している。
パンツも革新的で、ショートパンツとロングパンツを向かい合わせに一体化。ウエスト部分でつながっているため、片足が半ズボン、もう片足がロングパンツとして着用でき、“アンバランス”な着こなしを楽しめる。ロングジャケットや裏仕立てのテーラードジャケットもドッキングや立体パターンを用い、構造を意識したデザインが随所に見られた。
また、ブラックのショートパンツには大きくロールアップされた白い部分と、センターに走る白ステッチをアクセントに加え、少しの変化で印象を大きく変えるディテールも採用。MA-1は襟リブを排して背面からジップを走らせたノーカラーにし、ミニマルで洗練された印象に。ラグビーシャツも円筒型パターンと落ち感のある素材により、しなやかさが強調されていた。
クリーンで鮮やかな色彩
色使いも印象的で、ベーシックカラーのブラック、ベージュ、グレーを基調としつつ、ブライトなミントグリーンのシャツジャケットやカーディガン、フレッシュなグリーンストライプシャツ、ライトブルーのフェザーアクセサリー、ヴィヴィッドなレッドのコートやパンツなどがアクセントとして配され、視覚的な緊張感を生んでいる。
緊張感とリラックスの共存
DDDD 2026年春夏コレクションは、構造的なパターン、ドッキング技法、素材の落ち感や色彩によって、着る人に独自のリズムと表情をもたらす。緊張感のある構築的なデザインと、ゆるやかなドレープや落ち感を組み合わせることで、服が単なる着用物ではなく、動きや時間とともに変化する“生きた構造物”として提示された。
藤田茂樹が目指す「怠けたドレスアップ」は、リラックスしたムードの中にも計算された緊張感を持たせ、日常に刺激をもたらす新しいメンズウェアの在り方を示している。2026年春夏シーズン、DDDDの服はフォルムと色彩、構造の美学を通して、着る者に自由な着こなしの可能性を提供する。