和泉市久保惣記念美術館では、特別展「Over The Waves —南蛮・万博・ジャポニスム—」を2025年9月7日(日)から11月3日(月・祝)まで開催する。本展は、16世紀から20世紀にかけて日本とヨーロッパがどのように交流し、互いに影響を与え合ったのかを紹介するもので、絵画や工芸品、地図や資料など約120点を展示。時代ごとに変化していく文化交流のダイナミズムを体感できる。
16世紀半ば、ポルトガル人が種子島に上陸したことを契機に、日本には「南蛮文化」がもたらされた。展覧会では、異国の人々が船に乗り込む場面と日本への到着を描いた《南蛮屏風》をはじめ、ヨーロッパの視点から描かれた日本地図などを紹介。当時の交流の実態を伝える。
江戸時代は鎖国政策下にありながらも、長崎・出島を通じた限定的な国際交流が続いた。出島のオランダ商館長が江戸に参府するなど、文化や技術は徐々に日本に浸透。その影響は美術にも表れ、会場では西洋画法を取り入れた秋田蘭画の小野田直武《鷺図》などが公開される。
明治時代に入ると、日本は積極的に万国博覧会に参加。技術や工芸品を世界に発信することで注目を集めた。本展では、当時の展覧会を描いた《古今珎物集覧》や、欧米で高い人気を誇った《色絵金襴手花卉文大瓶》なども展示され、日本の工芸が国際舞台でどのように評価されたかを示す。
さらに19世紀後半、ヨーロッパでは「ジャポニスム」が流行。浮世絵は多くの画家に収集され、その構図や表現方法は西洋美術に大きな影響を与えた。会場では葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》と並び、クロード・モネ《ヴァランジュヴィルの風景》など、日本美術を取り入れた印象派絵画も展示される。東西文化の往来がいかに新しい表現を生み出したのかを、実物作品を通じて知ることができる。
国際的な視点で日本美術史を振り返る本展は、歴史と芸術が交差する貴重な機会。東西の文化交流の軌跡を辿りながら、時代を超えて人々を魅了し続ける美の源泉に触れることができる。

【展覧会概要】
特別展「Over The Waves —南蛮・万博・ジャポニスム—」
会期:2025年9月7日(日)〜11月3日(月・祝) ※会期中展示替えあり
[前期:9月7日(日)〜10月5日(日)/後期:10月7日(火)〜11月3日(月・祝)]
会場:和泉市久保惣記念美術館
住所:大阪府和泉市内田町3-6-12
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(9月15日、10月13日、11月3日は開館)、9月16日、10月14日、11月4日
入館料:一般 1,000円、高校・大学生 800円、中学生以下 無料
※有料20名以上の団体および65歳以上は2割引
※各種障がい者手帳提示者本人および介助者1名は無料
【問い合わせ先】
和泉市久保惣記念美術館
TEL:0725-54-0001