和装を現代にフィットさせるメンズきものテーラー Y. & SONS(ワイ&サンズ) が、2025年秋冬の新作を発表した。神田・京都の直営店をはじめ、公式オンラインストアにて9月上旬より順次展開されるコレクションは、伝統の技とモードの感性が交差する内容だ。イギリスの老舗シャツブランド「トーマス メイソン」や、日本の注目ブランド「グラフペーパー」とのコラボレーションを含む多彩なラインナップが揃う。


英国シャツ生地で仕立てる羽織 ― トーマス メイソン「ギャツビー」

コレクションの目玉のひとつは、トーマス メイソンの高級シャツ生地「GATSBY」を用いた羽織。超細番手コットンを高密度に織り上げ、しっとりとした肌触りと上品な光沢感を放つ。今回の仕立てでは縫製糸にシルクを採用し、洗うたびに糸が引き締まり、着るほどに表情が変わる仕掛けが施されている。
シンプルで伝統的なシルエットは、素材の魅力を際立たせ、日常の装いにも馴染む仕上がりだ。価格は 77,000円


グラフペーパーとの協業 ― モード感漂うオーバーサイズコート

続いて登場するのは、2019年から継続してコラボレーションを行ってきた「グラフペーパー」との新作。今季はライトメルトンを使ったオーバーサイズコートが仲間入りする。
裾にかけて緩やかに広がる膝丈シルエットと太めのアームがリラックス感を演出。温かみある厚手生地とブラックボタンのコントラストが、和装にも洋装にも合うモダンな一着となっている。価格は 107,800円、発売は10月中旬を予定。


初の“丹後ちりめん”着物 ― 絹の豊かな風合い

Y. & SONS初の試みとして、京都・丹後のちりめんを使用した着物も登場する。シルクを強撚して織り上げた丹後ちりめんは、独特の凹凸感とコシ、シャリ感を兼ね備え、格式ある佇まいを実現。
柄はシンプルで上品な「網代(あじろ)」と、格調高い「向鶴(むかいつる)」の2種を展開。価格は 176,000円165,000円と、まさに逸品と呼べる仕上がりだ。


他ブランドとの共演で広がる可能性

さらに、T.Tやニート(NEAT)のテキスタイルを活かした羽織とパンツのセットアップ、バトナー(BATONER)のタートルニット、アエタ(Aeta)のレザーバッグなど、幅広いブランドとの共演も見どころ。きものを核に、現代のライフスタイルに寄り添う多様な提案が揃う。


伝統生地の進化形 ― “越後型染”やリバーシブル仕様

秋冬コレクションでは、新潟・片貝の木綿を用いた格子柄のきものも登場。伝統的な越後型染による総柄が、クラシックでありながら都会的な雰囲気を漂わせる。さらに、裏表で色が異なるウールのきもの、肉厚で柔らかな「片貝あやおり」生地のオープンカラーシャツなどもラインナップ。素材そのものの個性を存分に味わえるコレクションとなっている。


伝統と革新をつなぐY. & SONSの挑戦

Y. & SONSが掲げるのは「きものを日常に」。古来より受け継がれてきた日本の伝統生地を現代の感覚でアップデートし、国内外のブランドとタッグを組むことで、和装の新たな可能性を切り拓いてきた。今回の秋冬コレクションは、その哲学をさらに深化させるものだ。
トーマス メイソンの羽織や丹後ちりめんのきものは、洋装の延長として自然に取り入れられる上質な選択肢。一方でグラフペーパーのコートやアエタのバッグは、和装スタイルに都会的なアクセントを与えてくれる。


発売情報

  • 発売時期:2025年9月上旬より順次

  • 取扱店舗:Y. & SONS 神田、京都、公式オンラインストア

  • 主な価格帯:

    • 羽織(トーマス メイソン) 77,000円

    • きもの(片貝木綿) 66,000円

    • コート(Y. & SONS×グラフペーパー) 107,800円

    • きもの(丹後ちりめん) 176,000円


終わりに

伝統を守りながら現代的に進化するY. & SONSの2025年秋冬コレクション。きものを特別な日の装いにとどめず、日常に溶け込ませる新しい提案は、和装の未来をより豊かに彩っていく。