― 授業科目に見立てて安野光雅の絵本世界を紹介 ―
画家であり、絵本作家、装幀デザイナー、そして文筆家としても知られる安野光雅(あんの みつまさ)。その創造力にあふれた世界観を紹介する巡回展「津和野町立安野光雅美術館コレクション 安野先生のふしぎな学校」が、2025年9月13日(土)から11月16日(日)までの期間、茨城県近代美術館にて開催される。
安野光雅は『ふしぎなえ』や『かぞえてみよう』など、子どもから大人まで心を躍らせる名作絵本を数多く生み出した作家だ。彼の作品には、細部まで描きこまれた緻密な筆致と、遊び心あふれる独自のユーモアが息づいている。その背景には、自然豊かな島根県津和野で過ごした少年時代の体験や、戦後の一時期に小学校の教師を務めた経験が色濃く影響しているといわれる。

今回の展覧会は、高知県立美術館など各地で好評を博した巡回展の一環。会場構成は「こくご」や「さんすう」などの学校の授業科目をモチーフにしており、まるで安野が先生として案内する“ふしぎな学校”に足を踏み入れたかのような体験が楽しめる。展示されるのは、『かぞえてみよう』『あいうえおの本』『もりのえほん』など、多くの人に親しまれてきた絵本作品。どれも緻密な描写の中にユーモラスな仕掛けや想像力の広がりが込められ、見る者を童心に引き戻してくれる。
絵本を通じて、数や文字、自然への興味を育む仕掛けが施されている点も安野作品の特徴だ。子どもはもちろん、大人にとっても新鮮な発見があるだろう。展覧会では、作品に潜む遊び心や知的なユーモアに触れながら、安野の芸術がいかに「学び」と「楽しさ」を融合させてきたのかを体感できる。
芸術鑑賞と同時に、学校の授業を思わせるユニークな展示構成によって、幅広い世代が楽しめる本展。秋のひとときに、茨城県近代美術館で安野光雅の“ふしぎな学校”を訪れてみてはいかがだろうか。

展覧会概要
企画展「津和野町立安野光雅美術館コレクション 安野先生のふしぎな学校」
会期:2025年9月13日(土)〜11月16日(日)
会場:茨城県近代美術館
住所:茨城県水戸市千波町東久保666-1
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館)、9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)
観覧料:
一般 1,240円(1,130円)、満70歳以上 620円(560円)、高校生 980円(820円)、小・中学生 550円(420円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳などの持参者は無料
※9月15日(月・祝)および17日(水)~21日(日)は満70歳以上無料
※11月13日(木)「茨城県民の日」は観覧無料
【問い合わせ先】
茨城県近代美術館
TEL:029-243-5111