2026年の新春、東京・文京区の弥生美術館にて、女袴の歴史を紐解く展覧会「はいからモダン袴スタイル ―『女袴』の近現代―」が開催される。会期は2026年1月3日(土)から3月29日(日)まで。明治から現代までの約200点におよぶ資料を通し、女袴がどのように誕生し、どの時代にどのように着られてきたのかを立体的に紹介する内容だ。

現在では大学の卒業式でおなじみの「袴スタイル」だが、そのルーツは明治初期の近代教育の黎明期に遡る。当時、女学生や小学生の通学服として採用され、動きやすく実用的な装いとして広まっていった。初期は男性とほぼ同じ袴が着用されていたが、「女性が男装に近い姿をするのは好ましくない」という社会的風潮から、スカートのように見える“女袴”が考案され普及した経緯がある。本展では、東京女子師範学校(現・お茶の水女子大学)をはじめ、跡見学園女子大学や学習院大学、実践女子大学、女子美術大学など、全国各地の女学校に残る写真や絵画資料を通じ、女学生たちのリアルな通学風景を辿ることができる。

展示資料の中でも注目を集めるのが、宝塚歌劇団でタカラジェンヌが着用する象徴的な“緑の袴”。舞台裏に息づく文化と伝統を間近に見られる機会として、ファン必見の展示となりそうだ。また、袴は学生だけでなく、教師・電話交換手・工女・医療従事者など、当時の「働く女性たち」の制服としても広く採用された。その機能性と活動性から、時代の女性たちの社会進出を象徴する衣服としても位置づけられている。

さらに本展では、文化芸術の中で表現されてきた袴の姿にも目を向ける。高畠華宵や竹久夢二といった画家の作品には、当時のモダンガール像とともに、快活で自立した女性像としての袴姿が描かれている。時代が移り変わっても、袴は人々の心に強い印象を残し、現代カルチャーにも幅広く影響を与え続けている。少女漫画「はいからさんが通る」、ゲーム「サクラ大戦」、そして「ちはやふる」など、作品のジャンルを超えて多くのキャラクターが袴姿で登場しており、現代の視点で“袴がどのように表現されているのか”を読み解ける構成となっている。

歴史資料、アート、ポップカルチャーの3つの流れで袴を見つめ直す今回の展覧会。日本の服飾史に興味がある人はもちろん、学生時代に袴を着た経験のある人にとっても、新たな視点を得られる貴重な機会となるだろう。

【展覧会詳細】

はいからモダン袴スタイル ー「女袴」の近現代ー
会期:2026年1月3日(土)〜2026年3月29日(日)
会場:弥生美術館
住所:東京都文京区弥生2-4-3
開館時間:10:00〜17:00
※最終入館16:30
休館日:月曜日、1月13日(火)、2月24日(火)
※1月12日(月・祝)、2月23日(月・祝)は開館
入館料:一般 1,200円/大・高生 1,000円/中・小生 500円
※竹久夢二美術館と2館併せて観覧可能
アクセス:東京メトロ千代田線「根津駅」、南北線「東大前駅」より徒歩7分/JR上野駅 公園口より徒歩20分

【問い合わせ先】
弥生美術館
TEL:03-3812-0012