江戸の人々の日常をユーモラスかつ鮮やかに切り取ってきた浮世絵。その世界の脇役として描かれる“おじさん”に光を当てたユニークな展覧会「浮世絵おじさんフェスティバル」が、2026年1月6日(火)から3月1日(日)まで、原宿の太田記念美術館で開催される。
浮世絵は、江戸時代の風俗や風景を記録するメディアの役割も果たしてきた芸術で、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳など数々の名匠が多様な名作を生み出してきた。旅の途中の風景やにぎわう市中の姿、季節ごとの暮らしを描いた作品は、今も強い人気を誇っている。
その画面の片隅には、旅人や商人、職人、宴会客など、さまざまな“おじさん”たちが登場する。食べ物を頬張ったり、仕事道具を抱えて急いでいたり、人間味のあふれる仕草が細やかに描かれ、彼らは作品に温かみと生活感を添える存在でもある。
今回の展覧会は、そんな“浮世絵のおじさん”を主役に据えた新感覚の企画。時代背景や絵師の個性に応じて、どのようにおじさん像が描かれたのかを読み解きながら、作品そのものの魅力を再発見できる構成となっている。
会場には、歌川広重の代表作であり、画家としての地位を決定づけた「東海道五十三次」をはじめ、葛飾北斎、歌川国芳、小林清親など、時代・画風が異なる150点以上の作品が並ぶ。旅路を行く男性、茶屋でくつろぐ商人、荷物を運ぶ職人など、多種多様な“おじさん”の姿を見比べてみると、絵師たちが持つ観察眼の鋭さや、人物表現に込めた遊び心が見えてくる。
表情の描き分け、ポーズの付け方、衣装の細部などに注目すると、同じおじさんでも作品ごとにまったく違うキャラクター性が立ち上がる。お気に入りの“推しおじ”を見つけながら作品を鑑賞するのも、この展覧会ならではの楽しみ方だ。
江戸時代の生活とユーモアに触れられる「浮世絵おじさんフェスティバル」は、浮世絵ファンだけでなく、美術初心者にもおすすめの企画。原宿の中心で、江戸の魅力を新しい角度から味わってみてはいかがだろうか。
【詳細】
展覧会「浮世絵おじさんフェスティバル」
開催期間:2026年1月6日(火)〜3月1日(日)
※前後期で全点展示替え。
[前期]1月6日(火)〜2月1日(日)
[後期]2月5日(木)〜3月1日(日)
開館時間:10:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日、1月13日(火)、2月3日(火)、2月4日(水)、2月24日(火)
※1月12日(月・祝)と2月23日(月・祝)は開館。
場所:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
入館料:一般 1,000円、大学生・高校生 700円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
太田記念美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)